「おひとり様の未来を守る:相続対策と寄付で安心の老後を」

相続コラム

2023.01.07

日本は超高齢化社会に向かって歩んでおり、おひとり様の高齢者が増えています。一人で老後を過ごす方が増加しており、多くの方が将来のことについて不安を感じています。特に、自分が認知症や疾病になった場合や亡くなった場合のことが気がかりです。この記事では、おひとり様の方々が心地よい老後を迎えるための法的な対策をご紹介します。

おひとり様が抱える特有の不安

おひとり様が抱える特有の不安は次の3つに大別できます。

健康と医療への不安

高齢になると健康に関するトラブルが増えてきます。病気やケガによる入院や介護が必要になることもあります。

住まいや生活環境への不安

一人暮らしをしていると、家の手入れや修理が大変になったり、生活のサポートが必要になったりすることが増えます。一人で住めるか、施設に移るべきか、といった悩みが生じます。

財産の承継先への不安

おひとり様の中には、身内が少ないか、全くいない方もいらっしゃいます。こうした状況では自身の死後、財産をどのように分けるべきかについて迷うことがよくあります。

おひとり様が相続対策をしない場合のリスク

おひとり様が相続対策を怠ると、以下のリスクが生じる可能性があります。

遺産分割協議の争い

何も対策しないで亡くなると、相続人全員の遺産分割協議によって遺産が分けられるため、自分の希望通りになるとは限りません。また、遺産相続において、遠い親戚や甥姪との間で紛争が生じることがあります。紛争が発生すると、相続手続きが長引き、財産の価値が減少する恐れがあります。

遺産が国庫に没収される可能性

法定相続人がいない場合、遺産は国庫に没収される恐れがあります。これは、遺産が無駄になってしまうことを意味します。おひとり様の場合、遺産を国庫に取られることは避けたいでしょう。

判断能力がなくなった後の対応

認知症や疾病により判断力が衰えた場合、自身の意思に基づく判断ができなくなり、財産や健康について適切な決定が難しくなります。相続対策を怠ることで、法的な代理人の不在による深刻なリスクが高まります。親族等の申立てにより成年後見人を裁判所が選ぶこともできますが、自分の意思と異なる人や、自身の価値観と違う人が後見人に選ばれたり、望まない決定が下されたりする可能性もあります。

遺族の混乱や不和

相続関連の問題が発生すると、親族間での対立や緊張が高まり、精神的なストレスが増加します。また、裁判所の関与が必要になった場合は金銭的な負担もあります。

おひとり様のための具体的な相続対策

おひとり様の相続対策には、以下の方法があります。これらの方法を検討し、自身の状況に合ったプランを立てることが重要です。

遺言書の作成

遺言書は、自身の意思を明確にするための重要な文書です。遺言書では、遺産の分配方法や遺産の管理者を指定することができます。法的に有効な遺言書により、ご自身の希望通りに遺産を承継することができます。

家族信託の活用

家族信託とは信託契約書に基づいて、本人の財産を信頼できる人(受託者)に託し、受託者が本人に代わって管理・運用します。おひとり様が家族信託を活用することで、体が不自由になったり、判断能力がなくなったりしても、自身が望む方法で財産管理を受託者に任せることができます。また、亡くなった後の承継先も定めておくことができるため、希望通りの承継が可能です。

任意後見の導入

任意後見は、将来の判断能力の低下に備えて、本人が自身の代理人(任意後見人)を指定し、その代理人と事前に契約を結ぶ仕組みです。これにより、将来的に判断能力が低下しても、指定された代理人が本人の利益を尊重して、財産管理や生活、医療のサポートを行います。おひとり様の場合、この制度を導入することで、将来の安心を確保できます。

寄付の重要性

相続対策において、寄付は大きな役割を果たすことができます。おひとり様が大切に育ててきた財産や財産の一部を寄付することによって、様々な社会課題に貢献できます。

寄付の方法

寄付を行う方法は様々ですが、一般的には遺言書の中で寄付先の指定と、寄付の手続きを行う遺言執行者を指定しておきます。本人が亡くなった後は、遺言執行者によって指定した団体等に寄付が行われます。

寄付先の注意点

遺言書では金額や財産を決めて、特定の慈善団体やNPOに寄付を贈ることができます。ただし、寄付先によっては受け入れができない財産があるため、事前に調べておく必要があります。

まとめ

おひとり様の方が抱える老後や相続に関する不安は多岐にわたりますが、適切な対策を取ることで、安心して将来を迎えることが可能です。遺言書の作成や家族信託の導入、任意後見の設定、さらに寄付を検討できます。相続対策は個々の状況や希望の承継によって異なりますので、司法書士や弁護士など専門家のサポートのもと、最適な方法で安心した老後を迎える準備をはじめてみてはいかがでしょうか。

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木村 洋佑

この記事を書いた人

木村 洋佑 Kimura Yousuke

1984年、広島市生まれ。
2007年、駒澤大学法学部を卒業後、検察事務官として東京地方検察庁に入庁。
2012年、東京高等検察庁を最後に検察庁を退職し、2013年には司法書士の資格を取得。
2014年、資格研修終了後、広島市内の司法書士事務所に就職。
4年半の勤務を経て、
2018年7月、司法書士木村事務所を開設。

現在、広島市など広島県全域について、相続や遺言、信託に関するお困り事を中心に解決しています。

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