相続登記に必要な戸籍や附票の取り方:2024年導入の広域交付制度も紹介します

相続コラム

2024.03.27

1.はじめに

亡くなった方の不動産の承継は相続登記を通じて行われます。

この手続きには多くの書類が必要になりますが、その準備は複雑で時間を要することがあります。

2024年3月より、これを簡素化する新しい試みが導入されました。

本記事では、相続登記のために必要な書類と、それらを効率的に取得する方法について詳しく解説します。

2.相続登記を行う際に関連する書類

相続登記を行う際に必要な書類は、遺言書や遺産分割協議の有無により異なります。

ここでは一般的に相続登記で登場する重要な書類について紹介します。

(1)印鑑証明書

登録した印鑑が本人のものであることを示す公的な証明書で、特に遺産分割協議により相続登記を行う際に必要です。

取得方法:印鑑登録していれば、住民登録をしている市区町村役場、またはマイナンバーカードによりコンビニの発行機で取得できます。

手数料:200円(コンビニ)~300円(市区役所)

(2)現在戸籍謄本(抄本)

戸籍謄本は家族構成や出生、婚姻、死亡などの重要な情報を含む公的書類

取得方法:本籍がある市区町村役場、マイナンバーカードによりコンビニの発行機で取得できます。

手数料:450円

(3)除籍謄本

戸籍に入っていた全員が、結婚や死亡等でいなくなった状態の戸籍

取得方法:請求したい時点で本籍がある市区町村役場で取得できます。

手数料:750円

(4)改製原戸籍

法律や戸籍の様式が変わる以前に作成された古い様式の戸籍です。

取得方法:請求したい時点で本籍がある市区町村役場で取得できます。

手数料:750円

(5)戸籍の附票

本籍を定めた日以降の住所の移動履歴が記載された書類。本籍を定めた後であれば、複数回引越しがあっても履歴が反映されます。

取得方法:本籍がある市区町村役場、マイナンバーカードによりコンビニの発行機で取得できます。

手数料: 200円~350円(自治体によって異なります)

(6)住民票

住所の移転履歴が記載された書類。

市区町村をまたぐ引越しを2回以上している場合、前の前の住所は履歴に反映されません。

転居2回以上前の住所を調べたい場合には、戸籍の附票や、住民票の除票をご請求ください。

取得方法:住民登録をしている市区町村役場、またはマイナンバーカードによりコンビニで取得できます。

手数料:300円(自治体によって異なります)

(7)不在籍(不在住)証明書

特定の地点の戸籍(住所)に本人が存在しないことを証明する書類。

相続登記においては、戸籍や住民票の一部が取得できない場合に法務局へ提出することがあります。

取得方法:本籍地や住民登録地の市区町村役場で取得できます

手数料:300円(自治体により異なります)

(8)法定相続情報一覧図

法務局に法定相続人の情報が記載された一覧図です。

証明に必要な戸籍一式を取得し、法務局に提出することで、認証文が付された法定相続情報一覧図が発行されます。

なお、法定相続情報一覧図は、提出者が作成し、これに間違いがなければ、法務局が認証を付します。

この法定相続情報一覧図を相続登記や銀行の相続手続きに使用することで、戸籍や住民票の提出を省略することができ、手続きが簡略化されます。

手数料:無料

(9)固定資産評価証明書

不動産の評価額が記載された証明書です。

取得方法:不動産所在地の市区町村役場、または税事務所で取得できます。

手数料:300円(物件数や自治体により異なります)

※ 固定資産税納税通知書(毎年6月頃に納税義務者に送付される書類)で代用できることもあります。

(10)名寄帳

所有するすべての不動産が記載された書類です。

なお、固定資産課税明細書には非課税不動産は記載されないため、不動産を漏れなく調べるために、名寄帳を取得することがあります。

ただし、自治体によっては、固定資産税が課税されない不動産(保安林や墓地、公衆用道路など)は記載されないところもあります。

取得方法:不動産所在地の市区町村役場、または税事務所で取得できます。

手数料:300円(物件数や自治体により異なります)

(11)権利証(登記済証又は登記識別情報通知書)

相続や売買などで不動産を取得した際、法務局から発行される重要な書類です。

亡くなった方の所有している不動産を調べるために確認したり、戸籍や住民票の一部が取得できない場合(事情により、自治体が廃棄している場合があります。)に、登記の申請書類に添付して法務局へ提出することもあります。

3.新制度による一括交付:戸籍の広域交付制度

・制度の概要

2024年3月から戸籍の広域交付制度が導入されました。

この制度により、本籍が遠方にある戸籍が最寄りの市区町村役場で取得することが可能になり、転籍前や婚姻前の戸籍を1つの市区町村役場で取得することが可能になりました。

・相続登記における利点

相続登記で亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を取得する際、今まで本籍のある市区町村ごとに戸籍を請求する必要があり、それぞれの役所に出向いたり、郵送のための書類や小為替を用意したりと手間がかかることがありました。

しかし、この制度により1つの市区町村の窓口でまとめて戸籍を請求することができるため、手続きの負担を大幅に軽減できます。

・注意点

 ・本人や配偶者、親や子などが役場の窓口で請求する必要があり、郵便や代理人による請求ができません。

 ・事前に予約が必要な場合や、発行に時間を要する場合があります。

 ・コンピューター化されていない一部の戸籍は取得できない場合があります。

 ・戸籍の抄本や附票は制度の対象外のため利用できません。

4.おわりに

相続手続きにおける公的書類の取得は、不動産や預貯金などの承継をスムーズに進める上で不可欠です。

2024年の広域交付制度の導入により、これらの手続きがどのように変わるかに注目が集まっています。

この記事で紹介した書類取得のポイントが、皆様の相続手続きの一助となれば幸いです。

ご不明な点や、相続に関する疑問などは、弊所までお気軽にお問い合わせください。

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木村 洋佑

この記事を書いた人

木村 洋佑 Kimura Yousuke

1984年、広島市生まれ。
2007年、駒澤大学法学部を卒業後、検察事務官として東京地方検察庁に入庁。
2012年、東京高等検察庁を最後に検察庁を退職し、2013年には司法書士の資格を取得。
2014年、資格研修終了後、広島市内の司法書士事務所に就職。
4年半の勤務を経て、
2018年7月、司法書士木村事務所を開設。

現在、広島市など広島県全域について、相続や遺言、信託に関するお困り事を中心に解決しています。

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