「代襲相続って何?相続トラブルを未然に防ぐポイント」

相続コラム

2023.01.09

高齢化が進む現代では、相続人が先に亡くなっているケースも増えてきました。このようなケースで適用されるのが「代襲相続」です。この記事では代襲相続についての基本的な知識と、相続トラブルを未然に防ぐポイントについて説明します。

代襲相続とは?

代襲相続とは、被相続人より先に相続人が他界している場合、その他界した人の子や孫に相続する権利が移ることをいいます。他界している相続人を「被代襲者」と呼び、それに代わって相続する人を「代襲相続人」と呼びます。

代襲相続の具体的な事例

例を挙げてみましょう。Aが高齢で亡くなり、相続人に長男Bと次男Cがいましたが、長男Bはすでに他界しています。この場合、Aの相続人は次男C及び代襲相続人として長男Bの子になります。なお、直系卑属(子や孫、ひ孫など)について、何代先でも代襲相続は続きます。

兄弟姉妹と代襲相続

代襲相続は、兄弟姉妹においても適用されます。例えば、Aが亡くなり、両親はすでに他界、配偶者や子がいない場合、兄Bが相続権を持ちます。この場合、Aより前に兄Bが他界していると、兄Bの子が代襲相続人として相続権を持ちます。なお、兄弟姉妹の代襲相続では、さらなる代襲(再代襲)がありません。つまり、先ほどの例で兄Bの子も他界していた場合は次の世代へ相続権は移りません。直系卑属については何代先でも代襲相続が認められますが、兄弟姉妹については注意が必要です。

遺産分割協議と代襲相続

代襲相続が発生すると、相続人が増える可能性があります。遺言書が存在しない場合、遺産分割は、代襲相続人も含む相続人全員で協議しなくてはなりません。相続人同士のトラブルが発生するリスクも高まります。疎遠な親族が急に現れることや再代襲の存在を知らなかった、という事例も少なくありません。

相続登記と代襲相続

代襲相続が発生した場合、相続登記の手続きはより複雑となります。通常の相続とは異なり、代襲相続人を特定し、その権利を確定するための追加の戸籍が必要となります。例えば、被相続人の出生から死亡までの戸籍に加えて、被代襲者の出生から死亡までの戸籍、代襲相続人の戸籍が必要です。特に代襲相続人が複数いる場合、戸籍の取得も複雑で時間と手間がかかります。

よくある質問

代襲相続人は相続放棄できますか?

はい、代襲相続人も他の相続人と同様に、相続放棄を選択する事ができます。

代襲相続人にも遺留分はありますか?

被代襲者が遺留分を持つ場合は、代襲相続人も同様に遺留分があります。一方、兄弟姉妹は遺留分がないため、兄弟姉妹を代襲した相続人にも遺留分がありません。

代襲相続人が複数いる場合、相続分はどのように分割されるのですか?

代襲相続人が複数いる場合、その相続分は代襲相続人で均等に分けます。例えば、被代襲者Aの代襲相続人が子2人の場合、被代襲者の相続分を子2人で均等に分けます。なお、他の相続人の相続分については何も変わりません。

数次相続と代襲相続は同じですか?

異なります。代襲相続は、被相続人より先に相続人が他界しており、代わりにその子などが相続権を持つ制度です。一方の数次相続とは、被相続人が亡くなり、相遺産分割協議をしないうちに相続人が亡くなってしまう場合を指します。例えば、Aが亡くなって、妻Bと子CDが相続人の場合で、遺産分割協議をしないうちに妻Bが亡くなるケースです。

代襲相続人に相続させないようにすることはできますか?

はい、できます。遺言書の中で、代襲相続人となる人へ相続させない旨を記載することで、代襲相続人へ遺産が流れることを防ぐことができます。

代襲相続人が未成年の場合、どのような手続きが必要ですか?

未成年であっても代襲相続人になれますが、遺産分割協議の際は注意が必要です。未成年者は遺産分割協議に参加できないため、代わりに未成年者の親が代理人となって参加します。ただし、未成年者の親自身も相続人の場合は、利益が相反するため別の代理人を家庭裁判所で選ぶ必要があります。

相続発生前の対策:遺言書で代襲相続のトラブル回避

遺言書は、本人の希望の承継方法を明確にするための大切な文書です。遺言書があれば相続人の遺産分割協議が不要になり、承継手続きがスムーズに進行します。手続きが煩雑で、相続トラブルが想定される代襲相続がある場合、特に遺言書の存在が不可欠です。相続トラブルのリスクを軽減し、家族にとっても安心感をもたらします。

専門家への相談のすすめ

代襲相続に関する複雑な問題や相続トラブルを回避するために、専門家のサポートを受けることは非常に重要です。司法書士、弁護士などの専門家は相続に関する法律や手続きに詳しいため、正確な情報と適切なアドバイスを提供できます。

まとめ

代襲相続は、高齢化社会においてますます重要なテーマとなっています。相続に関するトラブルを未然に防ぐために、代襲相続についての知識を身につけ、事前対策ができる場合は遺言書の作成を検討しましょう。家族や財産に対する思いを大切に、円滑な相続手続きを実現しましょう。

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木村 洋佑

この記事を書いた人

木村 洋佑 Kimura Yousuke

1984年、広島市生まれ。
2007年、駒澤大学法学部を卒業後、検察事務官として東京地方検察庁に入庁。
2012年、東京高等検察庁を最後に検察庁を退職し、2013年には司法書士の資格を取得。
2014年、資格研修終了後、広島市内の司法書士事務所に就職。
4年半の勤務を経て、
2018年7月、司法書士木村事務所を開設。

現在、広島市など広島県全域について、相続や遺言、信託に関するお困り事を中心に解決しています。

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