「後編:家族の逝去に伴う手続き~遺産の処理など法的手続きのガイド~」

相続コラム

2023.01.11

亡くなった家族の手続きと遺産の処理は、感情的な辛さとともに、法的な複雑さと不安を伴うものです。前編では死亡届から葬儀、役場への届出まで初期のステップを取り上げました。後編では、亡くなった方の遺族が直面する重要な手続きである遺産の処理に焦点を当てます。これらのステップを理解し、適切に進めることは、遺産を円滑に引き継ぐために不可欠です。

1.遺言書の確認:速やかに

故人が遺言書を残しているか確認する必要があります。原則、遺言書があれば遺言書通りに遺産は承継されます。故人の自宅の引出しや金庫を探すことや、故人が公正証書遺言を残している可能性がある場合、お近くの公証役場で確認することで発見できる場合があります。

2.検認手続き:速やかに

故人が自筆証書遺言(法務局の保管サービスを利用していない場合)を残していた場合は、家庭裁判所の検認が必要です。検認を行わないと預金解約や不動産相続などの承継手続きができません。なお、検認前に遺言書の封筒を開封すると、罰則があるため注意が必要です。

3.相続人の調査:速やかに

亡くなった方の相続人を特定することが重要です。相続人には法的な権利や責任が伴います。亡くなった方の出生~死亡までの戸籍を確認することで、相続人を特定することができます。

4.遺産の調査:速やかに

遺産の調査は、承継手続きには欠かせません。遺産分割協議や承継手続きの基礎になります。もし、承継が漏れてしまった財産があると、後に相続トラブルの原因になる場合があります。遺産には不動産、金融資産、動産等のプラスの財産と、ローンや未払い債務等のマイナスの財産があります。故人の金庫を探したり、金融機関からの手紙を確認したりすることで、資産が判明することがあります。遺産が確認出来たら、目録を作成しておくと後の手続きがスムーズです。

※銀行預金は、金融機関に直接問い合わせると保有の口座情報を確認することができます

※不動産は、税務署等で名寄帳を取得すると保有の不動産を確認することができます

5.遺産を引き継ぐか検討:3ヶ月

相続人が遺産を受け継ぐことに不安がある場合、相続放棄や限定承認といった選択肢が考えられます。相続放棄は、相続人が遺産を全く受け継がないことを選択する手続きです。限定承認は、相続人が遺産の受継ぎを一部受け入れ、一部拒否する手続きです。相続放棄と限定承認には期限(自分のために相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内)があるため、速やかに手続きを行いましょう

6.遺産分割協議:速やかに

故人が遺言書を残していない場合や、遺言書に定めがない財産は、相続人の遺産分割協議によって承継先を決めます。協議の結果を遺産分割協議書に正しく記載して、保管しましょう。

7.相続税の申告:10ヶ月以内

相続税の非課税枠を超えていた場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を行う必要があります。申告漏れや未申告はペナルティがあります。なお、故人が通常は確定申告をすべき人であった場合、相続開始を知った翌日から4ヶ月以内に準確定申告が必要なので注意しましょう。

8.相続登記:速やかに(3年以内)

故人の不動産の相続人が決まったら、相続登記を行う必要があります。現在は相続登記を行うことは任意ですが、令和6年4月から義務になります。

義務化後の相続登記の期限

①遺言等で不動産を相続した場合:相続したことを知った日から3年以内

②遺産分割協議で不動産を相続した場合:遺産分割協議の成立から3年以内

※令和6年4月以前に相続が発生した不動産についても、3年の期限あり

※正当な理由がなく違反すると、10万円以下の過料の定めあり

なお、故人が団体信用保険に加入している場合、金融機関の手続きが必要になるため、速やかに金融機関に連絡しましょう。

9.銀行口座と証券口座の変更:速やかに

相続に伴い、銀行口座や証券口座も解約手続きを行う必要があります。金融機関に必要書類を提出して手続きを進めましょう。なお、預金口座が複数ある場合、事前に法務局で法定相続情報一覧図を作成しておくと手続きがスムーズです。

10.生命保険金の解約:速やかに

生命保険金は遺産とは切り離されて扱われるため、受取人が単独で手続きすることができます。保険会社に連絡して手続きを進めましょう。

専門家のサポートを受けるメリット

上記の手続きは専門的な側面もあるため、司法書士や弁護士、税理士のサポートを受けると、より確実で効率的に承継手続きを進めることができます。相続手続きに不安があったら、気軽に相談してみましょう。

まとめ

大切な人が亡くなったとき、手続きや遺産の処理は感情的につらいものですが、これらのステップを丁寧に進め、期限を守ることが大切です。相続人を見つけることや遺言書を確認すること、遺産を分ける手続きや税金の手続き、そして相続登記など、正確な手続きが必要です。最終的に、これらの手続きが終わると、亡くなった家族の思いを尊重し、遺産をしっかりと管理できるようになります。家族やプロのサポートを受けながら、一歩ずつ進めていきましょう。

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木村 洋佑

この記事を書いた人

木村 洋佑 Kimura Yousuke

1984年、広島市生まれ。
2007年、駒澤大学法学部を卒業後、検察事務官として東京地方検察庁に入庁。
2012年、東京高等検察庁を最後に検察庁を退職し、2013年には司法書士の資格を取得。
2014年、資格研修終了後、広島市内の司法書士事務所に就職。
4年半の勤務を経て、
2018年7月、司法書士木村事務所を開設。

現在、広島市など広島県全域について、相続や遺言、信託に関するお困り事を中心に解決しています。

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