「相続と遺留分:知っておきたい遺言書の活用法、よくある疑問に答えます」

相続コラム

2023.01.02

遺留分という用語を聞いたことがあるかもしれませんが、その具体的な内容について詳しく理解している人は限られているでしょう。この記事では、遺留分と相続に関する基本的な情報から、対策方法、そしてよく寄せられる疑問について解説します。遺留分と相続に関する知識を深め、将来の相続に備えましょう。

遺留分とは何か?

遺留分は、一定の法定相続人に最低限保障される相続分を指します。遺留分が侵害された相続人は、侵害した人に対して遺留分相当の金銭を請求することができます(遺留分侵害請求)。請求するかどうかは、個人の判断に任せられています。

法定相続分との違い

法定相続分とは、法律で定められた相続人が受け取ることのできる遺産割合を指します。遺言書では、法定相続分を無視した希望の分配方法を指定することができます。しかし、遺留分は遺言書に優先するため、遺留分が請求された場合は遺言書に沿った相続が実現しないことがあります。

遺留分を請求できる人と割合

遺留分を請求できるのは、法定相続人となった配偶者、子供、両親です。相続人である子供が亡くなっている場合、代襲した孫も遺留分が認められます。一方で、亡くなった方の兄弟姉妹や代襲者の甥姪には法定相続分はあるものの、遺留分はありません。

遺留分の簡単な計算方法

基本的には、遺産×1/2の遺留分を法定相続分で分けます(相続人が直系尊属(父母や祖父母等)のみの場合は、遺産×1/3の遺留分になります)。

配偶者と子2人の計3人が相続人で、遺産総額5000万円の場合、具体的な遺留分は下記の通りです。

遺留分の合計:遺産総額5000万円×遺留分1/2=2,500万円

各相続人の遺留分

配偶者:2,500万円×法定相続分1/2=1,250万円

各子供:2,500万円×法定相続分1/4=625万円

例え、遺言書で全ての財産を配偶者に相続させることにしても、遺留分を持つ子供は上記の遺留分侵害請求が可能です。

よくある質問

*遺留分を請求して欲しくない場合、どうすればいい?

遺言書で希望の分配を指定していても、遺留分を持つ人からの請求が可能です。対策として以下の方法が考えられます。

・遺言書の付言事項で、遺留分を請求しないように伝える

・あらかじめ遺留分を持つ相続人に、遺言書で遺留分相当の財産を相続させる

・遺留分が請求された場合に備えて、多めに金銭を相続させておくか、生命保険金を用意する

※具体的な対策は状況により異なりますので、お早めに司法書士や弁護士へ相談することが重要です

*誰に対して遺留分を請求するの?

遺留分を請求する相手は、遺言書によって財産を受取る人(遺贈)や、生前に贈与を受けた人になります。両方に該当する場合は、遺贈を受けた人が先に負担します。遺贈が複数ある場合は、遺贈の割合に従って負担します(遺言書で別段の定め可能)。生前贈与が複数ある場合は、新しい贈与から先に負担します。

*遺留分は金銭で請求できる?

遺留分は金銭によって清算されます。ただし、不動産など金銭で清算できない財産がある場合、当事者の合意があれば金銭以外の方法で清算できます。

*生前贈与はいつまで対象になる?

下記のように遺留分侵害請求の対象になります。

・相続人以外への贈与は、相続開始から1年以内に行われたもの

・相続人への贈与は、相続開始から10年以内に行われたもの

※結婚資金や住宅購入資金など特別に受けた贈与(特別受益)を指します

・遺留分を持つ人に損害を与えることを当事者双方が知りながら行われた贈与

※相続人かどうかに関わらず、期限の定めなく対象になります

*生命保険金も遺留分侵害請求の対象になる?

生命保険金は原則、対象外です。そのため、遺留分が請求された場合の対策として活用することができます。例外的に生命保険金が遺産の多くを占めていた場合は、遺留分侵害請求の対象になる可能性があります。

*遺留分はいつまでに請求する必要がある?

相続が開始したこと及び遺留分が侵害されている遺贈(贈与)があったことを知った時から1年以内に請求する必要があります。また、これら事情を知らなくても、相続開始から10年以内に請求しないと権利は消滅します。

*遺留分について、どの専門家に相談する?

遺留分に対する対策は、遺言書や家族信託に詳しい司法書士や弁護士への相談がお勧めです。実際に相続が発生した後の相談は、専門の弁護士の協力を得ることで、スムーズに手続きを進めることができます。

*遺留分を請求する際は裁判しないといけないの?

家族や相続人で合意ができる場合には裁判を経ずに行うことが可能です。ただし、合意が得られない場合や紛争が発生した場合、裁判所に申立てを行うことが考えられます。専門の弁護士のアドバイスを受けながら、最適な方法を選択することが大切です。

最後に

遺留分と遺言書に関する知識は、円滑な相続手続きのために欠かせません。遺留分に対する疑問や不安、また遺留分を考慮した遺言書の作成を検討する場合には、司法書士や弁護士などの専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。適切なアドバイスを受けることで、将来的なトラブルを避けるための適切な手続きを進めることができます。

木村 洋佑

この記事を書いた人

木村 洋佑 Kimura Yousuke

1984年、広島市生まれ。
2007年、駒澤大学法学部を卒業後、検察事務官として東京地方検察庁に入庁。
2012年、東京高等検察庁を最後に検察庁を退職し、2013年には司法書士の資格を取得。
2014年、資格研修終了後、広島市内の司法書士事務所に就職。
4年半の勤務を経て、
2018年7月、司法書士木村事務所を開設。

現在、広島市など広島県全域について、相続や遺言、信託に関するお困り事を中心に解決しています。

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